例題1

東一局北家 配牌:手牌の方向性

 三萬六萬九萬四筒五筒六筒四索五索八索九索西北白


まずは手牌の方向性を見極める。
何故ならば、方向性によっては『牌効率』云々の話ではなくなってくるからだ。


この手牌の方向性は・・・。

  1. 色染め系には不向き
  2. 対子系も不向き

という単純な消去法で『順子系』となる。
順子系』は最も出現し易い形であり、『牌効率』がフルに適用される系統である。


なお、付加情報としては下記が挙げられる。

  • 雀頭が無い
  • 456の三色が見える
  • できればタンピン

東一局北家 一打目:雀頭無しはスジ牌残し

 三萬六萬九萬四筒五筒六筒四索五索八索九索西北白 四索


索子が 四索四索五索 と厚い形になった。
ここでの第一打はオタ風である打 西 としたい。


スジ牌がかぶっている 九萬 は? と思う諸兄もいるだろう。
九萬 の受け入れは 七萬 八萬 だが、これは 九萬 のスジ牌である 六萬 があるので、 九萬 がなくともカバーできる、という理論だ。


この理論立ては非常に正しい。筆者も普段はこの理論通りに打っている。
しかし、この手牌には「雀頭が無い」という情報がある。


まず、 九萬西 単体では、雀頭の成り易さはまったく等価である。
しかし、仮に 七萬 八萬 を引き入れたとすると、 九萬 を残しておけば 六萬七萬八萬九萬 とノベタン形になるのだ。
これにより、 九萬 を残した方が雀頭不足が解消される可能性が高い。


よって、ここでは打 西 を推奨する。

東一局北家 二打目:字牌は共通役牌を絞る

 三萬六萬九萬四筒五筒六筒四索四索五索八索九索北白 三索


ますます索子が厚い形 三索四索四索五索 になった。


ここで払うべきは、共通役牌の 白 と自風の 北 のどちらかとなる。
他家に不穏な動きがなく、枚数も同じであれば、ここは自風である打 北 としたい。


白 は他家共通の役牌である。
そして、こちらの手牌は 九萬 八索 九索 といった端牌の整理がまだ終わっていない。


仮に他家が 白 を対子で持っていた場合。
白 を鳴かれた後では、これら端牌も鳴かれてしまう可能性があるのだ。


共通役牌は、こちらの端牌の整理が終わってから打ち出すべきである。
細かいようだが、他家の手牌を一手でも遅らせるためには、こういう戦術も必要となるのだ。


よって、ここは打 北 を推奨したい。

東一局北家 四打目:雀頭候補の出現を見逃さない

 三萬六萬九萬四筒五筒六筒三索四索四索五索八索九索白 三筒


筒子の形が非常に厚い 三筒四筒五筒六筒 になった。


この形はノベタン形も兼ねるため、雀頭候補にもなる。
従って、ここは万が一の雀頭候補であった 九萬 を払う。

東一局北家 五打目:愚形を払う

 三萬六萬三筒四筒五筒六筒三索四索四索五索八索九索白 二索


索子が一面子完成となった。
選択肢は多いが、ここはタンピン三色を視野に入れてペンチャンの 八索九索 落としだ。


筒子の形が厚く、萬子にも手広い受け入れがある。
このような充実した手牌ならば、迷わず愚形のペンチャン・カンチャンを払うべき。


無論、タンヤオ雀頭になる可能性があるので、 八索 は残して、打 九索 だ。

東一局北家 六打目:好牌先打

 三萬六萬三筒四筒五筒六筒二索三索四索四索五索八索白 二筒


さらに筒子が広がったが、いまだに確定した雀頭が無い。
八索 を残してタンヤオ雀頭を求めるか、 白 を抱えるか。


ここは個々の打ち筋による所が大きいが、筆者としては打 八索 を推奨する。


中張牌字牌に比べて後々危険牌となり易い。
単純に重なりだけを期待して中張牌を手牌に留めるのは、中盤以降では控えるべきだ。


しかもこの手牌、いざとなれば筒子と索子に雀頭を求めることもできる。
ならばここは好牌先打で打 八索 だ。

東一局北家 七打目:面子を求めるスジ牌残し

 三萬六萬二筒三筒四筒五筒六筒二索三索四索四索五索白 五筒


またしても筒子が重なった。
五筒雀頭に見立てることもできるが、それはまだ早い。ここは打 白 だ。


萬子でスジにかかる2牌を残すのは、これが非常に受け入れの広い形だからだ。
九萬 以外の全ての萬子で塔子が作れ、しかもリャンメン塔子となる可能性も高い。


ちなみに、

  • 配牌から萬子がまったく動かないから萬子を払う

というオカルト的思考があるが、少なくとも筆者にこういう考えは存在しない。


難しく言えば

  • 過去のツモ牌とこれからツモる牌は完全に独立したものである

となり、簡単に言えば

  • 山から萬子が消えた訳じゃあるまいし

となる。

東一局北家 八打目:三色含みは先を見る

 三萬六萬二筒三筒四筒五筒五筒六筒二索三索四索四索五索 四萬


首尾よく萬子をツモって好形イーシャンテンとなった。


234の三色だけを見るならば、打 六萬 でも打 六筒 でも違いは無い。
しかし、先の展開を読めばここは打 六萬 である。


まず、 六萬 を残しても456の三色が見える訳でもない。それはあまりに遠すぎるだろう。
となれば、 六萬 を残しておく意味は全く無い。


対して 六筒 を残せば、 七筒 を引いた時に345の三色も狙える形になるのだ。


三色含みの複合形がある手牌は、常に先の展開を読むべきなのである。