受け入れの広さという罠

手牌において、『受け入れの広さ』は重要な要素である。
しかし『受け入れの広さ』が最重要か、と問われれば答えは"否"である。


たとえ受け入れが広くとも、最終形が愚形になってしまっては和了の『速さ』で劣る。
また、『打点』を無視して受け入れのみを追い求めても、一度の和了が軽くなるだけだ。


速さ』と『打点』。
受け入れの広さ』は、この2つの要素を踏まえた上で考慮するべし。

例題1

 三萬四萬二筒三筒四筒五筒五筒六筒二索三索四索四索五索 七筒

 ドラ 中

受け入れの広さ

まず上記手牌、『受け入れの広さ』を主眼において考えてみよう。
この場合、一番受け入れが広いのは打 二筒 or 五筒 となる。


二萬 三萬 四萬 五萬 一索 二索 三索 四索 五索 六索10種33枚聴牌が可能だ。


しかし、この内好形聴牌となるのは 二萬 三萬 四萬 五萬 一索 二索 四索 五索8種26枚である。
そう、 三索 六索2種7枚で単騎待ちになるという欠点があるのだ。

打点

打点』を主眼におけば、当然タンピン三色を考慮せねばならない。
この場合、234 or 345の三色が狙える打 四索 以外は考えられない。


二萬 五萬 二筒 五筒 八筒 二索 五索7種23枚聴牌が可能だ。


この内、全ての牌で好形聴牌(ノベタン含む)になるという利点もある。


好形聴牌の受け入れのみを考えると、打 二筒 or 五筒8種26枚、打 四索7種23枚
その差は1種3枚


この程度の差ならば、『打点』でお釣りがくるだろう。

速さ

速さ』を求めるならば、当然鳴きを考慮しなければならない。
鳴きの好条件としては、鳴ける枚数が多いこと、鳴いた後が好形であることが挙げられる。

二筒 or 五筒 の場合

好形聴牌二萬 三萬 四萬 五萬 一索 二索 四索 五索8種26枚
その内、鳴ける牌は 二萬 五萬 四索3種10枚と少ない。

四索 の場合

好形聴牌二萬 五萬 二筒 五筒 八筒 二索 五索7種23枚
その内、鳴ける牌は 二萬 五萬 五筒 八筒4種14枚

五索 の場合

好形聴牌二萬 五萬 二筒 五筒 八筒 二索 四索7種23枚
その内、鳴ける牌は 二萬 五萬 五筒 八筒 四索5種16枚


なんと、『受け入れの広さ』でも『打点』でもない打 五索 が、鳴きも含めた『速さ』という面では正着打になることが分かった。


ちなみに打 五索 は、面前においても全ての受け入れで役有り好形聴牌が約束されている。

総括

東場など、『速さ』が絶対必要という場面でなければ『打点』の打 四索 が正着。
オーラストップ目など、『速さ』に全てをかける場合には打 五索 が有力。
という結果となった。


単純に『受け入れの広さ』を求めた打 二筒 or 五筒 は、確かに聴牌速度の面では最優秀である。
しかし、麻雀全局面で打牌を左右するのは、結局の所『速さ』か『打点』である。


受け入れの広さ』という罠に囚われて、この2つをお忘れなきよう、ご注意頂きたい。


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