とある一戦にて

対戦が終わりロビーを見ると、そこには知り合いの姿が。
彼はロン2の三段位であり、堅実な麻雀を打つ、中々優れた打ち手である。


これを見てから寝るか、と思い観戦に入ると、まだ東二局。
彼は北家。
手牌はバラバラで、暫く我慢の闘牌になりそうだ。


親の手牌に目を移すと、下記手牌。


 一萬一萬九萬一索二索三索七索九索三筒四筒西北發發

 ドラ 五萬



そこそこ整った配牌だな、と思ったのも束の間。
南家の第一打 一萬 をポン。続いて西家の 發 もポン。
あっと言う間に2フーロ。


 一索二索三索七索九索三筒四筒 發發發 一萬一萬一萬


(随分焦った仕掛けだなぁ。頭が無くなったじゃないか…)


と思っていると、都合よく 四索 をツモってくる。
これでノベタン形になった、と思った瞬間、打 四筒


 一索二索三索四索七索九索三筒 發發發 一萬一萬一萬


(な、何故にリャンメンを外す?)


まだ3順目である。ピンズが高いとかいう状況ではない。
とか思っていると、あっさり 8 を引き入れる。


(おいおい、凄い勘だなぁ)


と思った次の打牌は 打 四索
ノベタン拒否の 三筒 待ち。
すでに私の理解を超えている。未体験ゾーンとはこのことか?


 一索二索三索七索八索九索三筒 發發發 一萬一萬一萬


百歩譲ってチャンタを目指すにしても、取り合えず 三筒 で問題無いはずだが…。
親は次に 東 を引くと、その単騎に受けかえる。


(この仕掛けで初牌の 東 は出ないだろ…)


と思っていたら、サンシャンテンの南家があっさり 東 をツモ切る。
役牌チャンタで3900の和了なり…。


その後も、理解不能の仕掛け、意味不明の打牌、驚天動地の振込みが乱れ飛ぶ。
唯一、理に適った打牌をしている知り合いが、為す術なくラスに沈んでいった…。


麻雀に勝つために必要な事。それは正着打を打ち続ける事である。
それこそが勝ち組となるために絶対必要な条件だと、私は確信している。


しかし時には『』というものが、理不尽な展開を巻き起こす事もある。
その時、心が揺れないか否か。
それも勝ち組の条件の一つなのだろう。


私も、その知り合いも、それを信じて今日も正着打を目指し、打ち続ける。


そう、それは「10枚格下でも完璧をめざす」爆岡のように…。