観戦記 白倉プロ 2006/06/11 1:13



テーマ1:『役牌の扱い』


今回の観戦記は、日本麻雀プロ連盟の新鋭、白倉プロの闘牌から。


少々打牌批判的な内容になっているが、牌譜から考え、学び取り、上達するためには必要な事とご理解頂きたい。

ロン2道場東南戦 東4局0本場

白倉プロ 27800
雀士A 30600
雀士B 35200
雀士C 26400



一盃口含みイーシャンテン


全家、10000点以内に収まっている東ラス。
親が第一打から中張牌を切り出し、さらに対面の第一打 南 を一鳴きした。


オタ風の一鳴きと、3巡の捨て牌を見れば狙いは明らか。
どうみてもマンズのホンイツ、次点で対々・チャンタ・役牌の後付だろう。


何れにせよ、マンズの 九萬 がドラであることを考えれば、容易に役牌を切れる場面ではない。
しかし白倉プロは初牌の 發 、さらには 東 を切り飛ばしていった。


本項では、この切りに関して考察したいと思う。

染め手に対する役牌切り出し

手役解説 役牌」でも触れたが、明らかに染め手がいる時に役牌を切るならば、それに対抗できる手牌であることが望ましい。


いや、染め主が親の場合は「望ましい」ではなく「必須である」としてもいいだろう。


高打点でも速さでもいい。とにかく対抗できる要素が不可欠なのだ。

役牌が先か ドラの数牌が先か

さて白倉プロの手牌だが、タンヤオに三色も見える、普通ならば好手牌だ。
しかし上家の親は染め手が濃厚の上、ドラの 九萬 が致命的に浮いている。


私としては、ここで 發 東 の役牌を先打ちする事が危険に思えてならない。


役牌」と「数牌のドラ」、どちらを先に切るのが正しいか?
これは「数牌のドラ」で定石化されているといっていい。


役牌をポンされると、数牌のドラがリャンメン待ちでロンされる可能性がある。
しかし数牌のドラを先に切れば、少なくともポン→ロンのパターンは防げるという理屈だ。


仮に他家の手がそこまで手が進んでいなくても、ドラがポンされたら役牌を絞る、といった対応もできる。
ドラポンだけでは役無しだが、役牌は文字通り役になるのだから。


従って、ここは攻めるならばドラ 九萬 の先切り。
さらにマンズを綺麗な形にしてから 發 東 を勝負するのが正道と思う。


無論、親の手が先に進むようならば、ドラも 發 東 も切らずにオリていい。
局面はまだ東ラスである。無理する必要がどれ程あろうか。

補足

白倉プロが 發 東 を先切りした理由を考えるならば、下記が上がるだろう。

  1. 親の捨て牌に気付いていなかった
  2. 他家はどうせ絞らないだろうと考えた

とは言っても「」はさすがに無いだろう。
麻雀初心者ならば兎も角、プロを名乗る人がこの捨て牌で何かを感じ取れない訳は無い。


となると、「」がその理由か。
昨今のネット麻雀を見るに、役牌を絞るという打ち手は殆ど見ない。
染め手を見れば、「直撃される前に」と我先に役牌を切り出す始末だ。


どうせ他家が切るならば、絞って手を狭めるより、先に切ってしまった方が都合は良い。


しかしご祝儀有りなら兎も角、この場は持ち得点のみが頼りのルールである。
役牌の絞りは有用、かつ必要な打法だ。


それを観戦者や同卓者に示す意味でも、ここは率先して 發 東 を絞って欲しかった。
これが私の所感であるが、諸兄等はどう思うであろうか?


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