盲牌は記憶を刻む

リアル麻雀特有の行為、『盲牌』。
することによるメリットがある訳ではない。


しかし、私の記憶に鮮明なまでに残る和了
そこには常に『盲牌』による指の感触が共にある…。

地和

2004年、新年最初の雀荘での出来事。
入るとすぐに席へ案内される。サイコロを振ると南家になった。


か:(さあ、新年一発目の配牌だ)


…。
……。
マジ? 聴牌だよ…。
しかも 二筒五筒八筒 の3面待ち。


親の第一打を待って、ゆっくりと山に手を伸ばす…。
そして『盲牌』。
指全体に広がる筒子特有の感触。それは確かに丸が五つあることを伝えてきた。


か:「ツモ!」


生涯初の『地和』は、五筒の感触と共に、新年一発目に訪れた。

天和

ある日の夜。それは徹夜麻雀の真っ只中の事。
そこそこに勝ちを重ね、しかし疲労もピークに達していた時だった。


南一局の親番。
4トン取ると、2面子と1雀頭は既に完成。
残る筒子の形が 一筒二筒四筒五筒


震える手でチョンチョンを取る。
一枚目は 六筒


か:(よりによってペンチャン待ちか…。)


気を取り直すために、軽く一息をつく。
残る1枚をキュッと『盲牌』。
指は確かに、牌を斜めに走る、あの独特の感触を伝えてきた。


か:「ツモ。」


牌を表にして静かに卓に置く。
生涯初の天和であった。