『先の後』実戦編 其の1
ここから、幾つかの手牌例を元に『先の先』と『先の後』の判断基準を提示する。
なお、特に説明が無ければ場は無風状態、かつフリー麻雀ルールとする。
ここでの判断よりも開局前の方針が優先されるし、競技ルールではダマが良い場合もある。
それをご承知おき頂きたい。
悪形役無しは聴牌する前に『先の後』
ドラ
上記手牌は、絵に描いたような悪形・役無し聴牌。しかもドラも無いのみ手である。
結論から言えば、この様なペンチャン待ち聴牌になってしまう事自体が誤りである。
もし聴牌までの過程で上記手牌ならば、 を払って好形・高打点を求めるべきだ。
にくっ付けば567のリャンメン高目三色、索子にくっ付けば好形3メンチャンの平和になるのだから、こちらの方が和了が見込める手順である。
『先の後』とするべき代表のような手牌と言える。
では仮に、途中経過で手変わりさせる材料も無く、結果的に悪形が残ったならばどうであろう?
役無しの悪形。追っかけ立直がかかればたちまち大ピンチである。
しかし、好形に変化させるための材料も今は無く、させたとしても得点的メリットは皆無である。
この場合、『速さ』のみを重視するならば、即立直の『先の先』となる。
手変わりするには有効牌が2枚必要。これならば待ちが一種類だろうと立直の方が和了する可能性は高い。
親や1300点和了すればOKの僅差トップ、という状況ならば迷わず立直だ。
また、対応派が多ければ立直も可。先手を取って、他家がオリに回ってくれればしめたものである。
無論、どうしても和了する必要が無ければ話は別。
取りあえず聴牌は維持してつもればラッキー。
萬子か索子にくっ付くのを待ちつつ、他家から攻勢があればオリに回る構えが良いだろう。
特にベタ押し派が多ければ、無理せずの『先の後』だ。
立直後に放銃が多いという打ち手は、状況に関わらず悪形立直を敢行している可能性が高い。
状況によっては悪形立直に踏み切る決断は必要。
しかし、和了しても見返りが少ない場合、悪形立直は避けるべきなのである。
高目安目は『先の先』
ドラ
上記手牌はタンピンが確定しており、高目 で三色のマンガン手である。
結論から言えばこの手牌はダマでは無く立直、『先の先』が良い。
形はリャンメンで文句無し。問題は打点である。
安目 より高目 が出易いのでダマ。確かにそうである。
しかし安目が出た場合、この手を2000点で和了してしまうのはあまりに惜しくは無いか。
立直をかければ安目で3900点。高目をつもればハネ満である。
しかもこのような平和形は、裏ドラがのる期待値が最も高い(三割弱)。さらに一発もある。
安目でも、ダマテン高目の和了と同等のマンガンになる可能性があるのだ。
基本的に立直して3900点あるならば、打点としては十分な勝負手。
形が十分形ならば『先の先』が正しい判断となる。
勝負手変化は『先の後』
ドラ
上記手牌は現状平和のみ。 引きで一盃口。 のドラ引きもある。
この手牌は『先の後』、手変わりを待つ方が良い。
勿論、立直をかけた方が得点的期待値は高い。一発・裏ドラが期待できるからだ。
ここで本戦略が提示するのは、この手を『勝負手に昇格する捌き手』と捉える事である。
現状は平和のみの捌き手。このまま和了することで他家の勝負手を潰す構え。
そして首尾良く を引けば勝負手に昇格。ここで立直に打って出るのである。
では、ドラが の場合はどうか?
立直をかければ3900点確定。好形の勝負手であるので、これならば『先の先』が正着となる。
勝負手に昇格する可能性があれば、捌き手のまま『先の後』である。