観戦記 多井プロ 2006/02/17 1:13 其の3



テーマ1:『カンによる攻守』
テーマ2:『カン材と不確定ドラの優劣』

東2局1本場

雀士A 14900
多井プロ 42900
パセリR 21100
雀士C 21100



         赤            赤
 二萬三萬五萬四索五索四筒五筒八筒八筒八筒東北北 八筒

 ドラ 七萬

11600を和了して点40000点オーバーで迎える親番1本場。2巡目と早々にカン材が手牌に入り込む。
この時の方針としては、

  • 親番なので速攻重視 打点は役ではなくドラでカバー

であったと思われる。


好形聴牌で先行できると踏んだ手牌であるからこそのカン材残し。
そして聴牌すれば暗カン+先制立直に踏み切る狙いだ。

カンのタイミング

8巡目。首尾良くリャンメンx2の好形イーシャンテンとなった所で暗カンとする。


カンは攻撃的な行為である。何故ならばカンドラ・カン裏によりドラの数が増えるからだ。
これは全家に対して適用されるため、本人だけのメリットには決して成り得ない。


そのため、カンのメリットを最大限活かすには先制攻撃しかない。
他家に先制された時点で、メリットはそのままデメリットに急変する。


先制攻撃を前提とすれば、カンするタイミングはイーシャンテン聴牌、しかも良形が望ましい。
ここでのカンがまさにそのタイミングに当たる。

賛否

なお、このカンを巡っては、観戦者からは賛否両論の声が挙がった。
」の意見としては、「トップ目でカンをすべきでは無い」というもの。


これが南場ならば確かにそうである。多井プロも早々にカン材を放棄していただろう。
しかし場面はまだ東2局。トップという順位を論ずるにはあまりに早い局面だ。
かつ親番で好形という手牌の強さもある。


ここでのカンは、この局で大勢を決するための行為として、筆者は「」に応じる。
諸兄等の意見は如何であろうか?

カン後の構想

結果的に、カンドラのらずの有効牌引かず。リンシャン牌で 一筒 を引いた場面。


カン後に打赤五萬


ここで多井プロは 五萬 を見切る。
このリンシャン牌で先制できない以上、他家の先制もありえる。
ならば不確定な 五萬 に拘りを残すのは危険との判断であろう。


』である暗カンと、『』である打 五萬
同巡で『攻守』のバランスを取る、多井プロのセンスが光る一打だと思うがどうか?

受け入れと赤牌

さて、暗カンする2巡前。実は下記手牌となっていた。
         赤            赤
 二萬三萬五萬四索五索四筒五筒八筒八筒八筒八筒北北 五筒


受け入れを最大にするならば打 五萬 。カン材を捨てる打 八筒 もある。
しかし、多井プロの一打は打 五筒 であった。
受け入れよりも、赤牌とカンによる高打点に重きを置いた、とも取れる。


しかし後々カンをする予定ならば、ここで打 五萬 として受け入れを最大限に取るのが望ましい。
『最速』にも適う一打だろう。
ここで打 五筒 としたのは、果たして打点を追い求めた末の判断か?


もし他に理由があるとすれば、対子になったのがカンスジの 五筒 だったことだろう。
これを残す危険性を考えての打 五筒 であったか。


対子となったのが他ターツの牌であったならば、果たして打 五萬 としたか否か?
筆者ならばカンと受け入れを取る打 五萬 であるが、多井プロは果たしてどう打ったか・・・。

不確定なドラとカン材

不確定なドラ(赤牌)とカン材の選択、この手牌ならば 五萬八筒 であるが、これが微妙な所である。


五萬 を使い切るには4種中1種、 四萬 を引かねばならない。このため得点的期待値は1.25倍程度に留まる。
無論 カン 四萬 受けも辞さぬならば話は別だが。


対して点パネは、確実に打点が1.25倍アップする(40符->50符の場合)。
カンドラ・カン裏の期待値もあるので、純粋に自身の和了だけを考えるならば、カン材が勝るだろう。


しかし、カンは当然のことながら他家にドラがのることも考慮せねばならない。


先制できそうならばカン材、後手に回りそうならば不確定なドラ(赤牌)といった所か。
無論、両立できるに越したことは無いのだが。

結果

11巡目に 一萬 を引き入れ 三索六索 待ち追っかけ立直をかけるも、先立直の 六索九索 に競り負ける。
雀頭がカンドラでマンガン放銃となった。


一応補足しておくが、ここで他家にカンドラがのったのはあくまでも結果論である。
多井プロも結果を見て「カンの判断は誤りであった」とは思わなかっただろう。
よりにもよって雀頭かよ!」位は思ったかもしれないが(笑)。


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