仕掛けのタイミング

激水の疾き


 [意訳]
 激しい流れの水が石を動かすのは、堰溜めたその猛烈な勢いによる

ホンイツ』が鳴きを前提にした役である以上、鳴き始めのタイミングに気を配るのは当然と言える。
重要なのは、鳴き始めたらそのまま一気に和了まで突っ走れる態勢。これを整えることにある。

4面子1頭

ホンイツ』も鳴き仕掛けの原則通り、確実に4面子1頭が見えてから仕掛けるべきだ。
例えば下記手牌。


 一萬二萬二萬八萬八萬九萬二筒九筒九索東東白白


萬子の『ホンイツ』に一直線、としたい手牌だが、現状3面子1頭しか確定していない。ここで仕掛け始めると、最悪下記手牌になってしまう。


 一萬八萬八萬九萬 二萬二萬二萬 東東東 白白白


他家から攻めの手が上がれば万事休す。
愚形でも聴牌ならば押せもするが、こんな手牌では何をいわんや、である。


ホンイツ』は老頭牌を手牌に組み込める性質上、ポン材が多くなる。そのため、仕掛け始めるとポンポンポン、と鳴けることも多い。
その時、和了を見込めるだけの最終形が残るか否か。それは4面子1頭を見込んでから仕掛けるかどうかにかかっているのだ。

役牌は別格

仕掛け始めは4面子1頭が見えてから。これが基本姿勢となる。
ただし、これには例外がある。それが役牌だ。


通常、手牌が整わない内の役牌早仕掛けは危険である。鳴いて手牌を縮め、かつ残る手牌がバラバラでは攻守共に不利となるからだ。
この場合、役牌は安全牌も兼ねて一鳴きは見送り、手牌が整うのを待つのがセオリーだ。


しかし、これは状況によっては役牌を払うことも視野に入れた、面前主体時のセオリーである。
こと『ホンイツ』における役牌は、面子構成・打点力アップに欠かせない存在。『ホンイツ』のキー牌といっても良い。
最後の一枚を握り潰されたり、王牌に眠っていた場合は、和了そのものが危うくなる。
残る手牌が多少悪くとも、『ホンイツ』を和了するなら役牌は1枚目から仕掛けることが肝要だ。


 一萬二萬二萬八萬八萬九萬九筒九索白白 東東東


例えば、先の手牌ではここまでならば仕掛けて可。
役牌を確定させつつ、さらに萬子を伸ばすためのスペース( 九筒 九索 )もある。いざとなれば 白 の対子落としができるので、守りの面でも安定感がある。


では、この後さらに 白 が出た場合はどうするか?
これは求められる得点状況によりけり。どうしてもマンガン級の和了が必要な場合は、ここからさらに 白 を一鳴きすることだ。マンガンへの最短距離として、 白 は欠かせない存在なのだから。
無論、これは守りを考えない捨て身の仕掛け。南場トップ目などが取るべき戦術では無い。
この状態で二副露するのは、どうしても高打点を叩き出す必要がある時のみ。そこをお忘れなきよう。

他家の打ち筋

仕掛けのタイミングに密接する要素。それが他家、特に上家の打ち筋である。
これは、こちらの仕掛けに対して絞りがきついか甘いか、である。


絞りがきつい面子ばかりでは、見切り発車は仕掛け倒れが関の山。
逆に絞りが甘い面子ならば、見切り発車的に仕掛けても十分和了が見込める。
まずは他家の打ち筋を確実に判断することだ。


 二萬二萬三萬四萬九萬九萬七筒九筒東東西西白


例えば上記。東一局荘家の手牌である。
言うまでもなくキー牌はダブル風である 東 だ。これが鳴ければ親マンは固い好手である。


もし 九萬 西 から仕掛けても 東 を捨てるような絞りが甘い面子ならば、速さ優先でどこからでも仕掛けるべきだ。
この手の打ち筋は、速度+自身の手牌が最優先のネット麻雀に多い。最近ではフリー麻雀でも増えている。


これが絞りのきつい面子であれば、 九萬 西 のどちらかを仕掛けた時点でまずもって 東 の出は期待できない。そうなれば、せっかくの好手を無駄に潰す事になる。
この場合は、キー牌の 東 が出るまで仕掛けは控えるべきだ。
この手の打ち筋は、プロや高レーティング雀士によく見受けられる。


面子によっても鳴くタイミングは変わる。これを知らねば『ホンイツ』を使いこなすことはできない。


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