棒テン即リーと全ツッパ



全ツッパ


他家の攻勢を一切気にせず、自身の手牌を進めることのみに注力する戦略。


棒テン即リー』派の多くが、この『全ツッパ』を併せて打ち筋としているのが現状である。


まず明記するが、『全ツッパ』は決して有用な戦略では無い。
あくまでも和了目がある時、または得点少なく後が無い荘家の時などに取るべき戦略である。


確かに、『棒テン即リー』の棒テンは"真っ直ぐに聴牌を目指す"の意味であろう。
しかし、これは己の手牌を"真っ直ぐ"伸ばす事を指すもので、『全ツッパ』と同義では無い。
他家からの攻勢に対しても"真っ直ぐ"突っ張る必要はどこにも無いのだ。


本項では、『棒テン即リー』のもう1つの欠点、「守り意識の希薄さ」についてを論ずる。

棒テン・全ツッパの弊害

二索五索八索八索九索東南南北中 四筒 白白白

 ドラ 六筒



これも筆者がロン2で対戦中の、他家の手牌である。
東一局の9巡目、東家が立直をかけた一発目の南家の手牌がこれだ。


東家の河には 五筒 九筒 北 があり、 東 は1枚切れである。


ここで南家は一発目にドラ跨ぎの 四筒 をノータイムで強打!
一発放銃で親ッパネを献上、という結果になった。


後で牌譜を見直して、筆者が驚愕したことは言うまでも無い。
百歩譲って攻め返すにしても、まずは現物切りの一手しか考えられない場面だ。


これは『全ツッパ』の典型ともいえる放銃であり、実の所このような放銃がはかなり多いのが現状だ。

棒テンから守りへのシフト

上記手牌、確かにホンイツを作るのに 四筒 は全く必要ない。
何も動きが無い状況ならば、『棒テン』の打 四筒 だろう(この手牌でホンイツに走った事の是非は問わないとして)。


しかし、である。
ここでは「他家からの立直」という、最大級の動きが発生しているのだ。

手牌の評価をする

まず冷静に、上記手牌について考えてみよう。


成就すればホンイツ役2のマンガンではある。
しかし手持ちの字牌は枯れているに近く、面子の種にも乏しい。


結論。
この手牌は和了にかなり遠い、バラバラの4シャンテンである。


この様に、自身の手牌を的確に判断・評価できるようになること。
これが『守り』を意識する上で最も必要な事だ。

他家からの立直

手牌の評価をした上で、状況を振り返ってみる。
そう、『他家からの立直』だ。


上記手牌、立直の一発目にドラ跨ぎを切るに値するだろうか?
先程「バラバラの4シャンテン」と評価した手牌である。突っ張るに値する訳は無い。
他家からの立直がかかった時点で、和了目は殆ど無いと見るべきである。


自身の和了目が無くなったら取るべき行動は?
それは『守り』にシフトし、放銃を避ける事である。


そう、『棒テン』から『守り』への方向転換を鳴らす鐘。それが他家からの立直なのだ。

総評 其の2

棒テン即リー』大いに結構。
但し、守りべき場面ではしっかり守る事も必要だということを理解した上ならば、だ。

  1. まずは棒テン
  2. 他家からの立直
  3. 自身の手牌の評価
    • 攻めるに値するならば『棒テン』継続
    • 攻めるに値しなければ『守り』にシフトチェンジ

まずはこの流れで闘牌に臨んでほしい。


本来は他家の仕掛けや、巡目と手牌の進行具合なども考慮すべきなのだが、それは後々でいい。


まずは『他家からの立直』。
これを受けたとき、改めて自身の手牌を判断することが必要だ。
その判断した結果で突っ張るならば、それは『勝負』である。
この判断無しに突っ張る事は、この前に『無謀な』と付けざるをえない。


なお、攻めるか否かの判断基準は「先の後の判断」を参照して頂きたい。
これは筆者独自の判断基準なので、あくまでも参考程度に留め置き頂きたい。


また、『守り』にシフトした後は、、放銃を避けるために『ベタオリ』となる。
これに関しては「『後の後』総括」を参照して頂きたい。


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